専門店の多い町
品川宿、というと真っ先に【じょうろやさん】となるのは致し方ないところではありますが、
祖母などに言わせると町全体が百貨店のように近所だけでなんでも揃えられた、というほどに専門店が多かったようです。
何不自由のない町、品川。といった側面があったということですね。
話を聞いた当時のメモによると
焼き芋屋、氷屋、扇子屋、帽子屋、牛乳屋といったなんとなくわかる!?ものから「泡盛屋」なんていうものもあったとか。
店を持たずに商売をする人も多かったようで、よく話に出てくるのは屋台の食べ物。
今では考えられない「鍋焼きうどん」専門の屋台が祖母のお気に入りだったようで、
「な~べや~きうど~ん」という掛け声と共に夜な夜な回ってきて、
呼び止めると梯子に乗って二階まで渡してくれるんだよ!って何度聞いたかわかりません(笑)
聞いても感じる楽しさがあり、きっとそれは美味しかったのでしょう・・・
また、物を売り歩く人の中には「背負い下駄屋」という品物を背負って売り歩くスタイルの下駄屋さんもありました。
その中には歯継屋さんといって減った二枚歯の歯を上手く継を当てることで、下駄の寿命を延ばす商売も・・・
「で~いで~い」という掛声で呼び込む「でいでい屋」という雪駄直し専門の商売もありました。
このように実は下駄や雪駄・草履の修理というのはそれぞれに専門業の方がいて「下駄屋」が修理をしていたわけではない、というのがあります。
現在においても「ウチのならやるけど他所の品物の修理はやらない」といった下駄屋さんがあるのもそういった背景も少しあるように思います。