有り難いお客様
急に店に出ることになった5代目。
自分が就業した当初のような暇な下駄屋ではない状態で、自分と同じ技術レベルから始まった、と考えるとその苦労は・・・想像にも難しいレベルです。
ただ、そこは有り難いお客様が多かった、という話をよく聞きます。
お客様の方もそういった事情がある事は承知しているわけで。
4代目のすげた下駄を持ってきて、未熟な5代目に向かってこう言うわけです。
「これと同じにすげてみろ!」
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「出来るようになるまで、他所の下駄は履かないから」
と。
求めるものは厳しいですが、それ以上に思いやりを感じます。
そういった人情のある人が多かったのも品川という場所だった、というのもよく昔話で出てくる品川の良い所でもあったように思います。