時代の流れと共に
5代目の奮闘は続き、忙しい日々が過ぎていきます。
しかし、徐々に和装離れや下駄・雪駄・草履離れは確実に起こっていきます。
呉服関係のピークが1980年頃と言われていますので、昭和41年に5代目が次いで10年と少々の間。
5代目実感としてはもっと早かったんじゃないか、ということで、「品川」という意味では落ち着きも早かったのかもしれません。
また、メインとなる履物が下駄から靴へと変わっていく、この流れは下駄屋にとってどうしようもなかったと思います。
かつては町内に10件以上あった、という下駄屋が一軒減り、また一軒・・・という具合。
自分の子供の頃で1~2軒は面影がありましたが、実際に営業していたのはウチだけだったのではないかという記憶です。
一時は隆盛を誇った下駄屋という職業ですが、こうなってくると「まだ下駄屋ってあるんだ」という具合に変化していきます。
小学生・中学生とその辺りは少なくとも地元の人達なので「下駄って何?」というレベルの同級生は居なかったですが、
大学時代の同級生に本気で「下駄ってどういう履物?」と言われた時は驚きました。
本気で知らない、わからない、というのです。
たった3~40年ほどの間に「一般的な履物」から「わからない」人がいるほどの認識にまで落ち込んでいるのが現実でした。