昔ながらの竹皮を編み込んだ畳表の雪駄はもちろん、現代においても履き続けられています。
しかし、時代と共に素材や製法の変化があり、現代では様々な「雪駄」が生まれています。
この「様々な雪駄」の流れは大きく分けて2通り。
【台と花緒が自由に組み合わせる事が出来る雪駄】
【台と花緒が一体化されている雪駄】
【台と花緒が自由に組み合わせる事が出来る雪駄】と【台と花緒が一体化されている雪駄】
それぞれどのような違いがあるのか、比較した表が下記になります。
※以下、花緒が選べるタイプ=【本雪駄】、花緒が選べないタイプ=【軽装雪駄】とします
雪駄比較表 | 本雪駄 | 軽装雪駄 |
価格帯 | \10,000~\40,000円ほど | \1,100~\4,000円ほど |
花緒調節 | ○ | × |
履き心地 | ○ | △ |
ソール | 基本的に牛革 | スポンジ・ゴム・ウレタンなど |
クッション性 | × | ○ |
耐水性 | × | △ |
メンテナンス | ○ | × |
※商品の価格帯については当店基準となりますことご了承ください。
◆本雪駄の場合
基本的には「雪駄台価格+花緒価格」=「本雪駄仕上がり価格」となります。
そのため選ぶ台と花緒によって価格が変わっていきます。
当店の場合、雪駄台@\7,000円+花緒@\3,000円の組み合わせが最安価格となります。
◆軽装雪駄の場合
最安価格は定番の黒&白花緒のスポンジ底雪駄となります。
定番物なら千円台から、柄物でも\3,000円前後のところが多く、リーズナブルに雪駄の雰囲気を楽しめます。
雪駄の花緒がキツくて痛い・・・なんて経験をされたことはありませんか?
本来の意味での雪駄の場合、購入時にお客様の足に合わせて花緒を調節していくため、花緒が当たって痛くなる・・・といったことはあまりありません。
雪駄の履き心地に関して重要ポイントとなるのが【花緒の調節具合】となります。
◆本雪駄の場合・・・
台と花緒をお客様に選んで頂き、お客様の足に合わせて仕上げる事が基本となります。
そのため、キツい緩いということなく、適切な具合に調節していく事が可能です。
さらに、実際に長時間履いてからの好みや履き心地が変化した際の再調節も可能です。
◆軽装雪駄の場合・・・
台と花緒が一体化した構造のため、細かな花緒調節はできません。
花緒がキツく感じる場合は軽く引っ張るなど、緩める事は可能ですが、逆の場合詰める(キツくする)事はできません。
◆本雪駄の場合・・・
基本的には牛革を使用したものが伝統的なスタイルとなります。
現代においても耐久性に優れるため牛革を使用しているものは最も多いです。
また、新たに丸屋オリジナルとして現代風雪駄を作りました。
ゴム底仕立てにする事でグリップ力が増し、慣れない方にも違和感なくお履き頂けます。
◆軽装雪駄の場合・・・
EVA・スポンジ・アメゴム底・ウレタン底の4種が圧倒的に採用例が多い基本形となります。
EVA底が最も本雪駄のスタイルを踏襲した形で、踵に金具もつけられています。
その他はクッション性・耐久性などを考慮した実用性の高い作りとなっています。
◆本雪駄の場合・・・
伝統的なスタイルの畳表に牛革を縫い合わせた雪駄にはクッション材となるものはほぼ入っておりません。
そのため底の感触をダイレクトに感じる事が出来る作りとなっています。
一部例外としてエナメル草履や現代風の仕立てになっているものは足を乗せる部分にクッション材を入れる事で柔らかな足当たりになっている雪駄もあります。
◆軽装雪駄の場合・・・
クッション性の無いもの、という方が少ないです。
ソールに厚底スポンジを採用されていることが多く、それだけでも十分なクッション性を感じる事が出来ます。
基本的に本雪駄・軽装雪駄どちらも耐水性はありません。
水に弱い構造をしている場合がほとんどで、雨天時の着用はお勧めできません。
ただ、どちらかといえば軽装雪駄の方が水の浸透が少ない構造になっているため、気にすることなく履く事が出来るように思います。
本雪駄の場合・・・
アフターメンテナンス可能です。
花緒の再調節・すげ替え・踵打替えなど、修理をしながら一足を長く履く事が出来る履物です。
当店の品物の場合
・花緒の再調節・・・何度でも無料
・踵の打替え・・・通常1,000円→半額の500円
軽装雪駄の場合・・・
修理をすることができません。
部分的な修理の場合でも新品購入と同程度・それ以上の費用が掛かってしまう場合が多く、基本的にお勧めしていません。
ここまで読み進めて頂いた方なら
・花緒と台が自由に組み合わせる事ができる雪駄→【本雪駄】
と
・花緒と台が一体化されている雪駄→【軽装雪駄】
の大きく2種の雪駄の価格帯など、それぞれの特徴を把握して頂けたのではないかと思います。
自分が欲しい雪駄が分かった!という方は下記より商品ページにお進みください。
改めまして。
慶応元年創業の老舗和装履物専門店が雪駄初心者の方へお勧めしたいものをご紹介します。
それは【本雪駄】です。
初心者だからこそ、まずは本当の雪駄の履き心地を体感して欲しいと思います。
はじめのうちは花緒に慣れず、痛い思いをするんだろうな・・・と思っている人は多いです。
だからこそ、花緒を足にピッタリに合わせて快適に履く事が出来る雪駄からスタートして欲しいのです。
花緒の調節ができないタイプの軽装雪駄はなによりリーズナブルでコストが掛からず入門編にピッタリ!のように感じますが、
我々和装履物専門店の立場から見ると雪駄の本当の魅力を体感して頂くには不十分なのではないかと考えます。
もちろん、いきなり数万円もする高級な雪駄である必要はありません。
当店ラインナップの場合
台\7,000円+花緒\3,000円=仕上がり\10,000円
ぐらいの品物から足に合う、痛くない適切なフィット感で履ける雪駄をお求めいただけます。
【豊富な選択肢からお好きな物を組み合わせて頂けます】
そこで、少々ネックとなるのが【購入場所】になります。
本雪駄の場合【その場で足に合わせてこそ!】本領を発揮するといっても過言ではありません。
近くに下駄屋さん無いよ!という方も多いかと思いますが、可能であれば実際に下駄屋(和装履物専門店)に足を運び、足に合わせて花緒を調節してもらった方がより良い履き心地となるはずです!
■好きな台と花緒を自由に組み合わせる事が出来る
→自分だけのオリジナル雪駄が出来る!
■その場で足に合わせて花緒調節する事が出来る
→適切な花緒調節で足当たり良く快適に履く事が出来る!
■アフターメンテナンス可能
→1つの履物を手入れをしながら長く履く事が出来る!
雪駄をお履きになるシーン・お仕事別などから履かれる事が多い雪駄を紹介していきます。
昔からお決まりのように白花緒が履かれています。
清潔に見せ「お客様の色に染まる」(※お好みの料理をお出しします)といった昔ながらの意味合いもあります。
白花緒であれば下駄・雪駄問わず履かれている印象ですが、耐久性の面からアメゴム底やウレタン底の軽装雪駄が履かれる事が多いです。
アメゴム底の軽装雪駄
神様・仏様に仕える身としての雪駄はやはり白花緒が決まりものです。
伝統的な畳表の本雪駄を履かれる方も多く、足元に差が出る部分かと思います。
実際は実用的・コスト面から軽装雪駄が用いられるシーンが多く、アメ底やウレタン底が定番雪駄となっています。
ウレタン底の軽装雪駄
通称「実用草履」というのですが、ソールにタイヤを採用した昔ながらの雪駄です。
本雪駄同様の竹皮を編んだ畳表のものもありますが、基本的にはビニールで白花緒か真田紐花緒の2種類。
タイヤ裏はグリップ力に優れ、軽く耐久性にも優れるため、仕事履きとして雪駄を履かれてきた職業に昔から愛用されてきました。
タイヤ裏雪駄・エース履き
道場までにも履くから花緒にはこだわらない・・・という方もいらっしゃいますが、こちらもやはり白花緒が本筋ではないでしょうか。
雪駄の種類は多岐にわたり、タイヤ裏の実用草履を履く方もいらっしゃいます。
気分という事でお勧めさせて頂くと、武道でしたら雪駄の後金をチャラチャラできる【二枚芯】スタイルが雰囲気出るかと思います。
馬蹄金具付きの軽装雪駄
役者さんなどが楽屋でお履きになる雪駄・草履もございます。
伝統的なスタイルとしては本雪駄に使われる竹皮を編んだ編目細かい畳表をフェルト底に仕立てて上履きとするのがらしい恰好です。
もちろん今でもそのスタイルを崩さず、という方も多いですが、ここでも代用品も存在しています。
鳶職やお祭りの際などの定番ですが、ツボ下がりのタイヤ裏の実用草履は見た目引き締まり、こだわる方の足元にも採用されています。
タイヤ裏のツボ下がり雪駄
お祭りで履かれる雪駄、といえばタイヤ裏の実用草履と呼ばれる履物が代表的です。
何といっても鳶職の方が履く【ツボ下がり】です。
通常よりも前ツボ位置を下げ、より踵が出るように突っ掛けて履くスタイルの雪駄の事を【ツボ下がり】と言います。
花緒は白と決まり物ですが、中でも緑の糸でチドリ掛けに縫い・細花緒に仕立てた物が正式とされます。
最近では反りを強くした雪駄も見られ「履きやすさ」よりも「見た目」を重視したスタイルの雪駄を好む方も多いです。
お祭りなどで仲間が集まる場所などは皆同じような履物になる事が多く、その中でも少しづつ変化した「お洒落」を楽しんでください。
前反り雪駄
正装時の雪駄といえば、伝統的なスタイルである竹皮を編んだ畳表の雪駄になります。
中でも編目の細かい【南部表】と呼ばれる畳表の雪駄が良く、畳表の色目は色濃い烏表ではなく竹皮そのものの色目(薄色~ベージュっぽい)の物が正装時に履かれます。
花緒は白革の花緒をすげる、というのも決まり事になります。
南部表雪駄