草履の選び方―丸屋履物店

草履の選び方

草履の選び方
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作りの違い

草履の作りの違いは何枚重ねてあるか、という点が一番大きいと思います。
重ねてあるから良い、一枚だからダメというようなものではなく、見た目の要素が大きいです。
ザッと大まかな作りを紹介します。

一枚芯一枚芯

最もシンプルな作りの草履。
呼び方は一枚芯の前に「一寸」などと高さの寸法が付き「一寸一枚【いっすんいちまい】」などと呼ぶのが通な呼び方。
もちろん無理に覚えてそんな呼び方する必要はありません。
シンプルな作り故に比較的リーズナブルです。

1の3枚芯1の3枚芯

通しが一枚に半月が二枚、というスタイル。 あまり背は高くなりにくく、半月を二枚入れる事で草履の反りも自由になりやすい形です。
お洒落履きの革草履などに多い作りで下から「四分・三分・三分」と重ねた物を数字だけ読んで「よん・さん・さん」と言ったりします。

2の3枚芯2の3枚芯

通しを二枚、半月一枚にしたスタイル。
半月が一枚なので、この半月をアクセントに柄物にする事が多く、花緒と半月に同一素材を使用した草履に多い作りです。
高さもあるため、訪問着などの装いが必要になる場面にも履かれる事が多いです。

3枚芯3枚芯

通しが3枚のスタイルです。厚みがあり背が高い草履になりやすく、フォーマルを睨んだ草履に多い作りです。
最近では一足でお洒落履き~正装にしたい!という方も多く、こういった厚みのある草履を最初の一足として選択する方も多くなっています。

素材の違い

合皮
合皮

草履の中では最もリーズナブルな素材です。
そのため、気楽に履けて普段履きとして活躍してくれるイメージが強いです。
本革のものと見比べても判別するのは難しく、どこが違うの!?と聞かれる事も多いほど・・・
気になるのはどういうデメリットがあるのか、ということでしょうか。
それはズバリ、寿命があることです。
合成皮革の寿命は5年と言われ、履いても履かなくてもそれだけの時間の経過で合皮がボロボロになってしまいます。
裏を返せば、その期間内に履き潰してしまうほどに履く方なら、コストパフォーマンスの優れた草履となるわけです。
お求め頂く方にはその点を頭の片隅に置いてお履き頂きたいと思います。

本革
本革

牛革を使用しエナメル(エナワイン)で塗装をしたもの。
現在の草履のメインとなっている素材です。
主流となっているだけあり、種類は豊富でさまざまな草履があります。
合皮に比べて耐久性に優れており、その強さ、親子で受け継ぎ履いている方も多いほど・・・
また、革の方がグリップに優れ、足袋を履いた状態でも足が滑りにくいので履き心地が違います。
草履自体の作りや花緒次第でお洒落履きにもフォーマルにもなる幅広い使い回しが出来るイメージです。
扱いやすいイメージもあるので、初めての方にもお勧めする草履です。

天革
天革

合皮と革のハイブリッド草履。
最も消耗の激しい天(上面)を革とすることで耐久性を持たせ、履き心地も向上させたものです。
側面には合成皮革を使用するため、その分コストが抑えられお客様にはリーズナブルな価格での提供が可能になっています。
主に柄物(台と花緒に同一の柄生地が使用される)で仕立てられます。
当店の天革草履は花緒裏には本天を使用していますので、その分柔らかな足当たりになっています。

帆布
帆布

当店の場合は特別に倉敷帆布を仕入れ使用しています。
帆布は「跳び箱の手をつく所」に使われているといえばわかりやすく、丈夫だというのがそこからもよくお分かり頂けると思います。
エナメルなどとは違い色々なカラーバリエーションがあり、そこから自分の草履を選ぶ楽しさもあります。
素材として表面はザラつきがあるため滑りにくく、履き心地としても優秀。
足当たりの柔らかい布花緒とも相性が良いので、履きやすく可愛らしい草履をお見立て頂けます。

TPOから選ぶ

お普段履き

普段履きというと、なんといっても気楽に履けること。出来ればコストも抑えたい所です。
それに見合うような草履となると、合皮や帆布などが優秀です。
草履の作りでいうと一枚芯のような少し背が低い方がより普段感が出ます。
花緒はお好みで大丈夫ですね。
(どちらかというと、普段履きという面では下駄が有利ですし、似合います)

お洒落履き

女の人の方がどちらかというと目に留まりやすく「TPOうんぬん」と言われやすいような気がします。
「ちょっと余所行き」程度のもので他人様にどうこう言われたくないですよね。
あまり形に囚われず、下駄屋から見た「こんなの素敵」を挙げてみます。

直付
直付【じかづけ】

昔は芸者さんなどに好んで履く方が多く、男性の方から見て「憧れの草履」というイメージです。
背が低いのでフォーマルにはならず、遊び・お洒落履きに徹しています。 その潔さがまた素敵です。

夏草履
夏草履

夏草履に限る事ではありませんが、その時の季節を感じさせられるものは美しく感じられます。
画像はからむし(麻)の草履。自分だけ涼しくというのではなく、見る相手にも涼しさを与えるというのが大事なポイントになります。

少々「みんなの憧れ的存在」を挙げてみました・・・
今一番多いのは三枚芯の薄色の台に同じく薄色の花緒をすげて手持ちの着物に合わせやすくする!!という手法です。
履きやすい布花緒を選択すれば履き心地も間違いのない草履になります。
いざという時にフォーマルまで、という方も多いです。
現在の着物環境に最も合っているスタイルではないでしょうか・・・

フォーマル

フォーマルともなると、さすがにかしこまります。
革草履や佐賀錦などの布草履をイメージする方が多いと思うのですが、一番の礼装は畳表の草履です。
これは男性の雪駄と同じイメージで、絶対的な存在となります。
招かれた場合は2の5枚芯、主催者は3の7枚芯など、重ねの数の変化で主張すると良いでしょう。

次に布、革と続きます。
この2つの素材に関しては共通で、ある程度の背の高さが求められますので、多くは3枚芯の草履となります。
花緒については金や銀を含むもの、正絹や帯地などの花緒がよく似合います。

畳表草履
畳表草履

意外に思うかもしれませんが、草履の王様・・・いや女王様です。
フォーマルに、ということであれば南部表がお勧めです。

革草履
革草履

革草履は革草履で側面の美も含め華やかさがあると思います。
画像は3の5枚芯でフォーマル限定、というぐらいの迫力です。

目次

下駄の選び方

形で選ぶ

見た目で選ぶ

TPOから選ぶ

雪駄の選び方

畳表の違い

雪駄の種類

作りを知る

草履の選び方

作りで選ぶ

素材で選ぶ

TPOから選ぶ