雪駄の選び方―丸屋履物店

雪駄の選び方

畳表の違い

現在出回ることが多い畳表は大きく2種類ほど。
いわゆる「野崎【のざき】」と呼ばれる物と「南部【なんぶ】」と呼ばれる品物。
この違いは??編み目の細かさにあります。
厳密に言えば製作工程が異なり「整理【せいり】」という編み目を寄せて細かく仕上げる工程を省く事でコストを下げ、価格をリーズナブルに抑えた畳表が「野崎」です。
それに対し言うまでもありませんが、これまで通りの工程で仕上がっている物を「南部」と呼び区別しています。
それぞれ一つづつ眺めてみてもどちらがどちらかわからないかもしれませんが、両者を並べてみるとその違いは歴然です。
南部の方が目が細かい分足当たりも滑らかになりますし、ゴミなどが編み目に詰まることもなくメンテナンスもしやすいです。
なによりも堂々と脱げる、という所が心理的に大きいと思います。

野崎・爪先アップ
野崎・爪先

編み目が横へ走らず、斜めに走るように見えます。素材の間隔も広く目が粗く見えます。

南部・爪先アップ
南部・爪先

編み目が横へ走り、細かく重なるように編み込まれています。素材の間隔が狭く編み目細かく見えます。

野崎・踵アップ
野崎・踵

ヘソが無く、巻き込まれていないため、やや垂れ下がるような仕上がりになります

南部・踵アップ
南部・踵

立派なヘソは良質な畳表の証。しっかり巻き込まれた丁寧な作りです。

雪駄のバリエーション

畳表のバリエーションの紹介です。
竹皮で編まれる畳表については茶竹・烏・縞の三種。
それに籐表を加えた4種が雪駄の畳表のバリエーションです。

茶竹茶竹

最もシンプルな、いわゆる「雪駄」のイメージです。
竹皮の色そのままに編み上げた茶色というよりも黄色っぽい色合いです。
正装の際には無くてはならない存在で、白や黒花緒をすげて履く方が多いです。
基本的に足袋を履いての着用になりますが、素足で履いても贅沢な品物です。

烏烏【からす】

烏表は着色する事で黒っぽく仕上げたもの。
どちらかといえば素足で履くイメージで、普段履き~お洒落履きとして履かれる事が多い履物です。
色目が渋いのと汚れが目立たないメリットがあるため、茶畳と同等・それ以上の人気があります。

縞

漂白した竹皮とそのままの竹皮を交互に編んで縞模様を出した縞表。
上等な物はほとんど出回る事がない「幻」といってもいいぐらいの畳表になりました。
なんといってもその見た目で楽しませる姿は通人に好まれます。
お遊びの雪駄です。

籐表籐表

竹皮ではなく籐【とう】で編まれた畳表。
竹皮とは比べ物にならないほど丈夫なため、昔は「普段履き」として履かれていましたが、現代においては高価な品物となりました。
しかしながらその丈夫さは健在で、その点においては「気楽」に履ける雪駄です。

番外編 ~男の草履~

これは雪駄でこれは草履なのか、という難しい部分もありますが、内訳としては草履にあたります。
雪駄番外編として男物の草履のパターン紹介です。

エナメルエナメル

どちらかといえば女性物の草履のイメージが強いですが、男物でももちろん同じ草履があります。
雪駄と違って天にクッション材をかませてあるため、足の疲れやすい方にも履きやすい履物です。
お洒落履きとして是非。

印伝印伝

エナメルをベースとした巻き(側面)だけ印伝というものからオール印伝まで。
鹿革に漆という素材の強さだから出来る草履です。
和装好きに好まれる印伝は昔から愛されてきている品物です。

ホースヘアーホースヘアー

その名の通り馬の毛を綿と織り込んだもの。
花緒としても人気がありますが、素材は強いので草履としての強度もバッチリ。
涼しげな見た目で夏に履かれる事が多いのですが、通年履ける草履です。

科布科布

樹皮から編まれる科布の生地は通気性もあり涼しげに見せる代表的な夏草履です。
素材も強く、ザラザラとした表面が滑り止めの役目を担い履き心地も素晴らしいものがあります。

本パナマ本パナマ

パナマといえば「パナマ帽」を思い浮かべる方も多いはず。
同様のパナマを使用した草履です。
その見た目はまさに夏草履。
流通量も少なく希少価値すらある履物です。

作りを知る

同じ雪駄でも違うといえば、踵の草芯【くさじん】が何枚か、程度でしょうか。
ほんの少しのことですが、こだわる方もいらっしゃいます。
PCでご覧になっている方は右へ行けば行くほど(スマホでご覧になっている方は下へ行けば行くほど)踵が薄くなっているのがお分かり頂けると思います。
踵に何枚クッションを入れるか、というイメージですね。
一般的には芯が少ないほど履き辛く、しかしそれを履きこなす事が「粋」だとされてきました。
実際に履いてみると「履き方次第」という印象で「突っかけて履く」方にとって芯は不要なものだったのではないかと推測します。

後二後二【あとに】

芯が二枚入った雪駄。
現在の主流であり基本です。
踵に高さがあるため、特別な意識もせず気楽に履けます。
まずはこの形から雪駄デビューをした方が良いと思います。

後一後一【あといち】

芯が一枚の雪駄。
「昔は後一で粋がる人が多かった」とは親父(5代目)談。
個人的には最もバランスが良く、突っかけて履く方にとっては履きやすいスタイルだと思います。

直付け直付【じかづけ】

ついに革と畳表のみとなった雪駄です。
背が低いために油断をすると突っかけて履いた足の踵が地面に着く事があり、履いて辛い雪駄です。
経験の無い方にはお勧めしません。

目次

下駄の選び方

形で選ぶ

見た目で選ぶ

TPOから選ぶ

雪駄の選び方

畳表の違い

雪駄の種類

作りを知る

草履の選び方

作りで選ぶ

素材で選ぶ

TPOから選ぶ