下駄を履いて変わった事トップ3―丸屋チャンネル@youtubeまとめ―丸屋履物店

下駄を履いて変わった事トップ3


初のランキング形式にしてみたのですが・・・

先日「切れた草鞋の行方~」という動画の中で「実は110kgありました」というワードだけがかなり反響ありました(笑)

そもそもそれで下駄履けるの?
体どうなってるの?
というところを店頭でもチラホラ聞かれまして。
確かに、自分が長年毎日下駄雪駄を履き続けてきた経験、それによる変化、というのはある意味貴重な資料なのかな、と感じてきました。
ただ、それだけでは話にならないので、
この動画では、お客様からも言われることが多いことと、自分の経験を合わせまして「下駄を履くとこんな事が起こる」といった事を紹介できればと思います。

今回は和装履物としての知識ではなく、体に関する事ですので、あくまで参考程度にご覧頂ければと思います。

それでは進めていきましょう!

慶応元年創業 和装履物処「丸屋履物店」 6代目店主 榎本英臣

もくじ

◆体の問題が治る

◆足が鍛えられる

◆歩き方が変わる

下駄を履いて変わった事トップ3
動画版はこちらから

体の問題が治る

私個人としては下駄を履く習慣が無かったのですが、
下駄屋の手伝いをするようになって、毎日下駄・雪駄履きという生活に自分を強制しました。
何が何でも下駄履き、雪駄履き、ということで生活をして10年以上にはなると思います。
そこで、変化、というのを求めていたわけでもないのですが、
ふと、足を見ると、アーチがあったんですよね。
あれ、俺、こんな足の形じゃなかったな~
もっと真っ平な足をしていたのにな~
そうなんですよ。偏平足だったんです。
そんな偏平足だった自分の足が、毎日下駄履き雪駄履きの生活になったら、いつのまにかアーチが出来ていたんですよね。
当時の自分はそんなところに注目していなかったので、どれぐらいで改善されたのか、データとして示す事は出来ないのですが、
そんなに長い期間ではなかったと思います。
なので、個人的な体験として、偏平足の方が下駄を履く事で綺麗なアーチが出来る、ということは言えるのではないかと思ってます。

他にはお客様からよく言われるのは
「外反母趾の対策」として下駄を履きなさい、と言われたので・・・というパターン。
これは過去動画にもありますのでそちらをご覧ください。

また、個人的に気になっているのは「腰痛が治った」というお客様
「色々やってみたんだけどダメだったんだ、下駄のおかげとしか考えられない」と仰ってくれた方もいらっしゃいました。
私にはその改善理由はわからないんですけど・・・
こういったお客様が一定数いらっしゃるんですよね。

腰痛

そして、整体師さんに注目されている事が多い気がします。
一番驚いたのは幼稚園からの親友が理学療法士になり、大学の教授になって、「俺、下駄の研究するわ」って言い始めた事ですね(笑)
その研究結果は非常に楽しみなんですが。
どうやら指の使い方・足の刺激からくる体への影響というところはそういった方面からも注目される物がある、ということのようです。

その辺りは私ではなくて専門家から聞いてみた方が良いかもしれません。


肥満

足が鍛えられる

110kgという私の体を、正直下駄というクッション性ゼロの履物で支えるのはキツかったです。
毎日のようにふくらはぎパンパンでした。
しかし、私は「下駄履きを続ける事を自分に強制」していたので、だからといって他の履物を履くということもなく。
こんなに自分の体使って無かったんだな~と思ってました。
たぶん・・・いずれ馴染むだろう、と。

結局クッション性など、履物による保護なくしては自分の体を支えられない体になっていた、ということですよね。
それは体重が重すぎたという面も、足の筋力からくる面もあると思います。

背伸び

下駄や雪駄を履くと、どうなるか。
ものすごく極端な表現ですが、背伸びのような負荷が足に掛かります。
その場で背伸びしてみてください。
無意識にふくらはぎに力が入るような感覚があると思います。
私のイメージ的にはこんな負荷が下駄履きによって掛かってくる感じです。

元から健康体、という人には気にならないかもしれませんが、
下駄履きによる負荷が耐えられないと、最初のうちは辛く感じるかもしれません。

しかし、その分、足が鍛えられます。
それでも履き続けると、自然と足が強くなっていくんですよね。
「ファッションアイテムにトレーニングを持ち込むな」と言われればそうかもしれませんが、
自分の体の状態、というのがよくわかる履物ではあると思います。
これはやっぱりクッション性が全くなく、ダイレクトだからこそ自分の体の欠点が見えてくるというのがありますよね。

子供の下駄

この足を鍛える、というか、健康な足の形成に着目した例という点では。
幼稚園や保育園といったところで「下駄履き」を推奨している所が非常に増えてきたと感じています。
我々下駄屋にとって、子供の下駄というのは夏祭りの下駄、もしくは七五三というのが定期的な用意としてあるわけですが、
最近は3月ぐらいになると子供の下駄が出始めるので
なんでこの時期なんだろう、と伺ってみると「入園準備」という全く想定外の答えが返ってくるんですよね。
「幼稚園に下駄用意しなさいって言われたんだけど、子供の下駄売ってる所が無いんですよ~」という声を頂く事が非常に多くなりました。

これはまさに「子供の体のために」「足の成型のために」ということで、下駄履きが推奨されている例だと思います。
下駄履いてると足が速くなる!というのも聞いた事がありますね。
確かに自然と足の筋力がつく、というのはあると思います。

一本歯

また、鍛える、という面でいうと、ここ数年ブームのようになっている「一本歯」がありますね。
バランス感覚であるとか、体幹を鍛える、とか。
お客様からはおおよそそんな感じで「一本歯履いてみたい」と要望を頂きます。
私にはその詳細については考えた事も無いですが、
確かに見た目にはそんなイメージがありますよね・・・


歩き方が変わる

2位~3位は特定の人が影響を受ける事でしたが、これは非常に多くの人が体感できることだと思います。

私は無意識に靴を履いているときはズルズル引きずるような歩き方になってしまっていました。
靴の踵がやたらと減る。
そんな感じですね。
靴でも引きずった歩き方が奨励されるわけはないと思いますが、下駄を引きずるな、と言われて下駄を履き始めた自分は全く歩き方が変わりました。

歩き方

私が始めに履いた下駄は二枚歯だったと記憶しています。
この二枚歯の下駄の動きって、独特な物なんですよね。
歩くと、下駄が自然に前に倒れて、その動きによって足が進んでいく。
この動きに慣れてしまうとほぼ重心移動だけで歩けるようになるような履物なんです。

そのため、まず、重心の位置が変わります。
靴を履いているとどちらかというと後ろに重心がある方が多いと思いますが、意識的に少し前に重心を持ってくる事で非常に履きやすくなる履物なんです。
具体的に下駄を履いた時のイメージとしては、二枚の歯の歯と歯の間に自分の重心を持ってくる感じですね。
これを初めのうちは少しだけ意識して頂くとスムーズに歩きやすいと思います。
歩こうとすると前に倒れていきますので、そこは逆らわず、流れに身を任せて。
下駄が前に倒れる力で次の一歩が自然と生まれると思います。
この下駄の動きによって、しっかりと指で地面を蹴る感覚が身に着くと、例え履物を靴に変えたとしても、もう踵の減りは気にならなくなっていると思います。

ポイントとなるのは、指使い・・・だと思います。
しっかり指で蹴る事が出来ているか、というのは非常に重要になってくると思います。
下駄はその姿勢を矯正するような効果を持っているのではないでしょうか。
自分の重心がどこにあるのか、という事がわかりやすい履物、という事もできるかもしれません。

ここでは二枚歯の下駄を例にご紹介していますが、
やはりこの感覚は二枚歯が最もわかりやすいです。
のめり系も基本的には同じ感覚ですが、右近や舟形といった底が平なタイプは比較的わかりにくい傾向にあります。
また、雪駄、草履も同じ感覚で歩いて頂くのですが、初めての人にはその感覚はわかりにくいように思います。
いわゆる和装履物は全て前重心を意識した形作りとなっています。
その「前重心」を理解して頂くための一歩として「二枚歯・のめり」といった形の下駄は非常に有効だと私はご案内することが多いです。

のめり下駄
前歯が斜めに作られた「のめり」下駄

どこまで体を動かしていくと下駄が倒れていくのか。
是非、これを把握してもらいたいですね。
その、倒れ始める一歩手前を自分の基本姿勢とすると非常に身動きがしやすくなると思います。

もしかしたら、歯の位置・花緒のポジションという面で人それぞれに「ベスト」があるのかもしれない、と思うようになりました。
例えば私が目の前で削り出し、花緒の穴を開けて、という事が可能であれば、それも良いな、と思うわけですが、
我々のような小売店ではさすがにそこまでのサービスは難しいです。
なので、色々な形を履いてみて、ベストを見つけ出して頂く、というのも一つの楽しい作業になるように思います。

私はあくまで基本形・基本の動きが身に付くわかりやすい形として二枚歯やノメリといった形を経験してみる事は全力で薦めますが、
そこから先にやっぱり私はコレが履きやすいな!と思う形があると思います。
それはやっぱりその人の体の使い方と、履物の動きのバランスが良いということですよね。

イチ履物屋として、お客様にあった履物を見抜く力を、もっと身につけなくてはいけないな~と思います。

以上、いかがだったでしょうか。
少しでも参考になれば幸いです。

最後までご視聴ありがとうございました。


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