草履を綺麗に保つコツ ~草履のお手入れ方~
草履というと日常使いされる方は少数派だと思います。
履き終わった後のほんの一手間で次回の出番が気持ち良く迎えられるところ。
わかってはいるけど、なかなか難しいところかもしれませんが、
履く前・履いた後に出来ること・チェックポイントをご紹介できればと思います。
慶応元年創業 和装履物処「丸屋履物店」 6代目店主 榎本英臣
草履というと日常使いされる方は少数派だと思います。
履き終わった後のほんの一手間で次回の出番が気持ち良く迎えられるところ。
わかってはいるけど、なかなか難しいところかもしれませんが、
履く前・履いた後に出来ること・チェックポイントをご紹介できればと思います。
慶応元年創業 和装履物処「丸屋履物店」 6代目店主 榎本英臣
まずは動画で見る
久々に着物を着る事になって草履を出してみたら・・・見た目が・・・ということ、あると思います。
履物ですのである程度はどうしても傷や汚れがついてしまうのもしょうがないところだと思いますが。
せっかくの出番になんとか綺麗にしてあげたいところ。
ここでは最も手軽で、効果のある手法をご紹介します。
※ここではエナメル系の素材の草履を例にご紹介していきます。
布地の草履や畳表の草履に以下の方法は対応していません
草履の汚れ落としに必要なものは・・・ズバリ【水とタオル】です。
実際にはこれだけでは落ちない汚れもありますが、ほとんどの場合水とタオルでお手入れして頂ければ
納得して頂ける仕上がりにまで持っていけるのではないかと思います。
先に水とタオルで仕上げた草履をご紹介すると、このような仕上がりになります。
それでは具体的に手順をご紹介します。
・・・といっても、拭くだけですが・・・(笑)
よく聞かれる点として
■どれぐらいの水分でやればいいの?
■拭く布の素材は?
というのがありますので、何か好例を挙げられればと思いご用意したのがこちらです。
どちらも百円ショップで購入してきました。
スプレーとタオルです。
タオルは起毛のものだとかえって毛羽が草履についてしまって扱いにくいので、パイル地のものが良いと思います。
スプレーは水分量の目安として紹介しているだけですので特別必要はなく、蛇口でチョンと濡らして頂いても当然大丈夫です。
タオルについても着古しのシャツの切れ端などで十分です。
草履を水拭きする、と言ってもずぶ濡れの布で拭いてしまうとさすがに草履も痛みます。
【草履は雨に履くな!】と言われるほど水に弱い履物ですので、その点は注意が必要です。
【水が弱点】とされる草履のメンテナンスになぜ水を使うのか?
といいますと、エナメル素材そのものには耐水性があるからです。
表面を水拭きするぐらいの水分量は草履にとって全く問題ありません。
タオルを濡らして頂く水分量の目安としては画像の【スプレーで一回シュッとする】ぐらいの水分で十分です。
あとは実際に草履の気になるところを拭くだけです。
【最後にしっかり乾拭きをして終わりましょう】
スプレー一回ほどの水分量で後々問題になるわけではありませんが、しっかりと水分は拭き取ってお手入れ終了としましょう。
しつこい汚れもあるかと思いますが、あとは薬品・アルコール系になりますのでよほどの場合は下駄屋さんの方にご相談、という形が良いのではないかと思います。
重要なのはやはり履いたらメンテナンスしてあげること、だと思います。
染みて時間が経ってからだと汚れは落ちにくいです。
日々のメンテナンスで「落ちにくい汚れを作らない」ことも必要かもしれません。
もちろん水のみの手入れがベストだとは言っていません。
エナメルであればエナメルの手入れ用クリームですとか、汚れ落としといったものも存在しています。
「草履用」というのは無いですが、ここは臨機応変に「靴用」のクリーナーを流用して頂いてももちろん大丈夫です。
用法・用量をよく守り使用してください。
■少し湿らせた布で水拭きする
ここではスプレーを例に「一回シュッとする」ぐらいの水分量で水拭きするという方法をご紹介しました。
■靴用のクリーナーを使用するのも◎
草履用のクリーナーはないので、靴用のクリーナーを使用するのも良い方法です。
草履の汚れ落としが一通り済みますと、今度は逆に傷が気になるようになってきますよね・・・
ある程度綺麗な状態になるほど、手入れをしたのが自分だとなおさら気になるように思います。
どうしてもぶつけたりアクシデントでちょっとした傷がついてしまうものだとは思います。
そんな傷対策にもう一手間掛けたい!という方にご紹介するのがこちらです。
マニキュアです。
塗下駄の剥げが気になる場合も同様なのですが、似た色のマニキュアを探して頂くことでカモフラージュする事が出来ると思います。
ただ、一度ではなかなか上手くいかないので、
塗って・乾かして、を何度か繰り返す必要があります。
少しづつ薄く塗り重ねることで塗膜も綺麗に仕上がると思います。
例としてあまり上手くなかったかもしれませんが・・・
似た色を探して根気よくやるのが大事だと思います。
この補正のやりやすさを重視して白や黒といった台の色目を選ぶのも・・・・案外良いかもしれません。
下駄屋としましては一番見て頂きたいポイントは踵です。
草履の踵は打ち替える事が可能です。
減っている事に気が付かず、本体の革を減らしてしまうと取返しのつかない事態になってしまいます。
なので履く前や履いた後に、ほんのチラッと確認して頂きたいところです。
このように踵がすり減っている状態でお履きになると草履そのものの寿命を縮める事になってしまいます。
現在では自分でやるよ~!という方も意外と多いようですが、当然お店に持っていけばその場でやってくれる下駄屋さんが多いと思います。
右側が正常な状態!ということを覚えておきましょう。
基本的には草履購入時に付属してくるであろう箱にしまっておく、というのが一番だと思います。
湿気や熱に弱いので直射日光に当たってしまう場所、湿気の多い場所での長期保管は避けた方が良いと思います。
実は下駄箱にドンと置いておく、というのは草履にとって好条件だと思います。
しまう必要がなければそのままでも問題はありません。
履いたあと、上記の水拭き・乾拭きをして頂き、その後1~2日影干し→箱にしまうという流れが理想だと思います。
いかがだったでしょうか。
自分で出来る日々のメンテナンスをご紹介させて頂きました。
ちょっと一手間かけることで、綺麗な状態を維持できるものだと思います。
少しでもお役に立てましたら幸いです。