フォーマル草履【正装草履特集】―草履―丸屋履物店

草履

フォーマル草履


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フォーマル草履

結婚式や成人式・卒業式・入学式といった人生の節目の式典を飾るのは打掛・振袖・留袖・訪問着といった華やかな着物です。 そんな豪華な着物の足元に似合う草履とはどういったものか、 適切な草履を見立てて頂くことで、特別なお着物がより見栄えのすることと思います。

伝統的なフォーマル草履=畳表草履

まず第一に伝統的なフォーマル草履といえば、畳表の草履であることは言うまでもないように思います。
昔から正式な場に履く履物としてかならず畳表の付いた履物を着用してきました。
これは草履のみならず下駄に張り付けるといった手法でもフォーマルになるのですが、ここでは【フォーマル草履】の紹介ページですので草履のご紹介をしていきます

畳表の草履はもしかしたら目にする機会も少ないかもしれません。
畳表を重ねた草履で、厚みを持たせたものがよりかしこまった作りになると思います。
重ねの枚数というのも和装履物にとっては重要になるポイントで、畳表でなくともこれから紹介するコルク芯の草履でもその傾向が強いように思います。

芯を重ねることによって、草履そのものに厚みを持たせて程よい高さにする、ということはもちろんですが、
それだけ手間を惜しまず作り込まれているという表れにもなるため、フォーマルな場面での着用に合う草履となるのだと思います。

花緒選びも重要ポイント

和装履物の難しいところですが、台だけでは履物として要をなしません。
花緒がついてようやく履物となりますので、
台がフォーマル、花緒がカジュアル、では【フォーマル草履】としての役割が弱くなってしまいます。
フォーマルが要求される草履として、重要になってくるのは【花緒選び】にもあると思います。

草履の花緒

フォーマル想定の草履の場合、合わせる着物が華やかなデザインであるということは間違いのないところ。
それに合わせる花緒というのは錦織・金襴といった金糸銀糸の織り込まれた織物で仕立てられた花緒がよく合います。
イメージとしては帯地から仕立てられた花緒が多く、着物に合わせていくというよりも帯や小物に寄せていくようなデザインの花緒をお見立て頂くとより着物が映えるようなコーディネートとなるように思います。


少々話が脱線しますが。
これは花緒だけでもフォーマル・カジュアル使い分ける事が出来る、という事でもあります。
畳表の草履などは特にですが、カジュアルな花緒を合わせても自然と合わせる事が出来る貴重な草履だと思います。
フォーマルな場面にはこの花緒、カジュアル使いの時はこの花緒、というように、一つの台でも場面によって花緒をすげ替える事で使い道を増やすといった上級者の方もいらっしゃいます。


当店のラインナップとしては
南部表には標準的なフォーマルスタイル・2の5枚芯草履と、より厚めの3の7枚芯をご用意しています。
基本的には2の5枚芯ぐらいの厚みでほど良いように思います。
より厚くすることで重厚感が生まれる事は事実ですが、自分が主役といったフォーマルシーン(例えば成人式・結婚式)が想定されるように思います。

またここまで触れてきませんでしたが、
畳表にはシンプルな竹皮の色を生かした茶竹と色濃く染めた烏表の2種類ございます。
フォーマル草履、という観点から行くと適しているのは茶竹のみになります。
烏表は洒落草履となりますのでご注意ください。

また編み方として南部表・野崎平表といった表がありますが、これは言うまでもなく南部表が好ましいと思います。


佐賀錦など生地草履もフォーマル

もちろん現代におけるフォーマル草履は畳表だけではありません。
佐賀錦織などに代表される錦織・金襴などを使用した草履ももちろんフォーマル草履になります。
ただ当店としては扱いはあまりありません。
本当に1~2回履くための草履、というようなスタイルになりがちで、少々実用性に欠けるような気がします。
それこそがフォーマル!という理屈もあるのかもしれませんが・・・


現代フォーマル草履といえばエナメル草履

次にご紹介するのはようやく見慣れた草履だと思います。
この紹介を待っていた方も多いのではないかというところ・・・
エナメル草履です。
順序としては畳表が伝統的、エナメル草履は洋風文化を取り入れたフォーマルスタイルという形になるかと思います。
草履の作りとしては伝統的なスタイルから踏襲して1枚の芯から、というよりも2段・3段と重ねた作りの方がより重厚感が出てフォーマル感が強くなります。
必然的に草履の厚みも厚くなっていき、厚みのある草履=フォーマル草履といったイメージが強いです。
いわゆる「3段の草履にしておきなさい!」という助言はまさにこの草履の作りを表しています。
具体的に見ていきますとこのようなスタイルの草履のことです。

5分3枚本革草履の側面スタイル

3段重ねといってももちろんその1段1段の段の厚みの変化もありますので「3段の草履」といっても高さは様々です。
「フォーマル草履」という観点から見ていきますと、少し厚みのある作りの方がよりフォーマル感が強くなりますので、目安として5分3枚(高さ5~6cm)ぐらいが一般的なフォーマル草履の作りになります。

実際に手に取って頂くとわかりやすいですが、靴などと比較するとかなり背の高い履物、というイメージです。
この台をベースに花緒を見立てて頂くスタイルが今最も多いです。

昔ながらの台と花緒が同じエナメル花緒・・・というスタイルですとどうしても花緒そのものが痛くなりがちです。
草履=痛い!というイメージはおそらくはこのスタイルの草履が作り出してしまったのではないかと思うぐらいです。
そのため、現在では足当たりの柔らかい花緒をエナメル草履に組合せて頂いて快適に・お洒落に・上品に構えて頂くフォーマル草履が一般的です。

この組合せて頂く花緒については畳表の草履に合わせる花緒同様、金襴・錦織といった金糸・銀糸の織り込まれた織物から仕立てた花緒がよく似合います。
こういった花緒は足当たりに特化した花緒の作りになっていることが多く、その場で足に合わせて調節すれば、快適にお履き頂ける草履に仕上がると思います。


番外編・・・万能草履

最後に番外編・・・といいますか、定番のスタイルとして万能な草履をご紹介してフォーマル草履特集を結ぼうと思います。
お客様の要望で一番多いものとしては
・いつでもどこでも(フォーマルからカジュアルまで)
・どんな着物でも(合わせやすい)
・履きやすい快適な草履
です。
これは履物屋やメーカーさんにとっても一つの目標ともいえる条件だと思います。

3分3枚本革草履の側面スタイル

丸屋としてご用意させて頂いている万能草履のスタイルとして3分3枚草履があります。
先にご紹介した5分3枚よりも1つ1つの芯を気持ち薄くすることで全体の厚みを抑えた作りとなっています。

フォーマルだけにしか履けないのはちょっと・・・という方。
むしろその後の事を考えると万能な草履で手を打っておくというのも一つの選択肢かと思います。
同じように手持ちの着物に合う花緒を見立てて頂ければ使いやすい草履となるのは間違いないでしょう・・・