花緒の裏地―花緒―丸屋履物店

花緒の裏地について

花緒というとついつい色・柄に目を奪われがちですが、裏地も大切な要素の一つです。
なんといっても直接肌に触れる部分ですから、その素材や種類によって履き心地が変わってきます。
ここではそんな表の世界には現れない、だけどとても大事な花緒の裏地について。
詳しく触れてみようと思います。

花緒の裏地:罠

・罠【わな】

ループ状に織り込まれた生地のことです。
ループ状の織り目(毛)を切ると、本天になるため「毛切らず【けきらず】」とも呼ばれます。
花緒以外ではカーペットやタオルなどによく使われています。
ループ状の盛り上がりがあるため、柔らかく滑らかな肌触りの生地です。

また、これを表面に使用する花緒もあります。
表面を罠にすることで本天のような毛羽立った生地よりも涼しげに見え、見る人に清涼感を与える事ができます。
罠色無地本天裏などは夏向けの花緒と言えます。

花緒の裏地:本天

・本天【ほんてん】

本天というよりも、ビロード・ベルベットと言った方がわかりやすいかもしれません。
上述の罠のループを切ることで、起毛させた生地のことです。
起毛させることにより接触面も増え、より柔らかい肌触りになります。
また、毛が滑り止めにもなるため台と花緒の一体感も生み出します。
履き心地の面では最高峰の生地です。

※注
「本天」と言えば「正絹」という意味にもなるのですが、 現在はナイロンで織られていたり、絹と交ぜられているのが主流となっています。
そのため、当店の表記では「ナイロン本天」とさせて頂き、中でも上質な物を「本天」と呼ばせて頂いております。
ご理解とご了承をお願い致します。

鼻緒の裏地:ハイミロン

・ハイミロン

ハイミロンと呼ばれる化学繊維の起毛タイプの生地です。
新本天と呼ばれた時期もありました。
比較的安価なので、お求めやすい鼻緒です。
ただ、本天などの良い物と比べてしまうと柔らかさに欠ける面があります。