下駄の磨きと目引き―下駄コラム―丸屋履物店

下駄の磨きと目引き

下駄を磨く。
下駄は浮造りで磨きます。
ウチでは手作業です。
下駄の台にイボタ蝋と呼ばれる艶だしや浮造りを滑らすための蝋を塗り、ひたすら浮造りで磨きます。
手作業にこだわる理由は、やはりその見た目の違いでしょうか。
色・艶、そしてなにより木目がはっきりと浮かび上がります。
これは良い柾目の下駄ほど綺麗に木目が出ます。

柾下駄の木目

バフなどで磨かれた下駄は平らに磨かれるので、木目が出ないのです。
浮造りで磨くと木目の弱い部分が上手く削れて、木目の溝が大きくなります。
これが、見た目に良い。
「すごい柾履いてるな~」と見ただけで明らかに違います。
そしてさわり心地もまた違いますね。
それがどこまで履き心地という面に関係してくるのかはわかりませんが、触って違うものを足で感じないわけがありません。

木目を出す方法に浮造りで磨く以外に一つ方法があります。
花緒をすげる時などに使うクジリ。
これを木目に沿って押し付けていくと、これもまたハッキリと木目が出ます。
これは浮造りで磨くのを省略(というよりも短縮)するのが目的でやる事が多い、ちょっとした反則技ですね・・・

下駄の目引きの方法
下駄の左側が元の木目、右側は目引き後

「目引き」と言います。
これは主にお客さん側で自分で凝ってやる人が多いようです。
下駄屋ではあまりやりません。(浮造りで磨きますので・・・)
反則技ついでに・・・もう一つ裏ワザをご紹介しましょう。
六七(ろくしち)・八九(はっく)などのあまり目数の細かくない柾を買ってきて、
目と目の間に「目引き」の要領で木目を自作するんです(笑)
あっという間に二十上(にじっかみ)ぐらいにはなります!
天(表面)だけだとすぐにバレてしまうので、側面、歯にまで薄く目をつけられれば完璧・・・
なんて下駄屋の教える事じゃないですね・・・
(当然商品にはこんなことしませんので、ご安心ください)

下駄の目引き後
上の画像と同じ台です。どれだけ目数を増やしたかわかりますか!?

そんなことをして遊べるのは厚張りからになります。
天一や真物は天の柾張りが薄すぎて木目を出す事ができないんです。
厚張りは木目を出すのに十分な厚さの柾目板が張ってありますから、磨けば当然木目が出ますし、目引きも可能です。
だから、厚張りは「ただ厚く柾目が張ってある」だけではないんですね。
柾と同じように木目を出す事ができる。
柾と見紛うほどの見た目にする事ができるわけです。

そんな所から、厚張りを買う時に気を使うお客様がいらっしゃいます。
「目数の多い厚張りを出すんじゃないよ。そんな柾、俺が履けるわけねえだろ」
なんて。
わざと目数の少ない厚張りにして謙遜したりなんかする。
これもまた、江戸っ子の遊びのような気が致します。

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