マゴチ釣りというと何となく敷居が高そうな、ベテラン釣り師がやるような、そんなイメージがあります。
しかし、奥が深いのは確かですが、実はそんなに難しい釣りではありません。
基本さえ守って実行すればそれなりにチャンスは巡ってきますので、是非チャレンジしてみて下さい。
まず竿ですが、大筋で以下の点をクリアしていれば専用竿でなくても流用可能です。
1:長さは2メートル強前後
2:7:3~6:4くらいの調子で、合わせ(竿を立てて魚を掛ける行為)が出来る胴の硬さがある事
3:15~20号の錘を背負うことが適当である事
よって、キス竿やカレイ竿などでも流用可能な物は多数存在すると思います。
リールはやはり小型両軸リールが良いですが、スピニングリールでも可能です。
リールに巻くライン(道糸)はPEなら1.5~2号くらいが良いでしょう。後述しますが、ハリス(仕掛けの糸)が4~5号なので、道糸があまり細いと、合わせの際に切れてしまうリスクがあります。
逆に太すぎると、錘が軽いので道糸が潮で流されてしまい棚取りが困難になってしまいます。
仕掛けは至ってシンプルです。
まず道糸(リールに巻いてある糸)の先に錘が付きます。
錘は鋳込み天秤(左画像)、もしくは三日月錘(右画像)が一般的です。
これらの形状は、仕掛けを海に沈める際に道糸にハリスが絡んでしまうのを防いでくれます。
潮の流れの速さや、ポイントの水深によってですが、東京湾では15~20号を使います。
ハリスは4~5号のフロロカーボンを1.5~2メートルです。
ハリは使う餌によって異なります。
サイマキ(車エビの小型のもの)を使う場合はススキ針17~18号にヒューズを巻いたもの(画像左)が基本です。
※ヒューズとは糸状のオモリです。餌のエビを安定させる役割があります。
メゴチやハゼなどの魚餌を使う場合は丸セイゴやチヌ針(画像右)などを餌の大きさに合わせて使うことになります。
なお、孫針は好みで使って下さい。アタリが出せれば掛かる確率は上がりますが、餌の動きが悪くなるのでアタリは出にくくなると言われています。
餌付けに際しては、どの餌であっても手早く行う事が大切です。
手間取るほど、餌は弱ってしまうからです。
難しければ迷わず船長などスタッフにコツを教わりましょう。
ここではとりあえず基本的な付け方をお伝えします。
◎サイマキエビ(小型の車エビ)の場合
まず、エビの角を折ります。理由は完成図を見て貰えば分かるかと思いますが、ハリの軸の部分に角が当たってしまい、エビが安定しないからです。
半分から2/3くらい折りましょう。
次にハリを刺しますが、エビを裏返して口の部分(写真の矢印の部分)から刺します。
ちゃんと口に入っていればあまり抵抗なく入ります。そして頭の上へ刺し通すのですが、この時なるべく透明に黒く透けて見える脳天に当てないように刺して下さい。(ここを傷つけすぎるとすぐ弱ってしまいます
そして、最終的にはケンの辺り(角を最大限折ったとしたら、その付け根付近)からハリ先を少しだけ出して止めます。
そのまま水を張ったバケツに入れてみて、元気に泳いでいれば成功です。
◎メゴチ・ハゼ餌などの場合
こちらは簡単です。ハリで上顎だけ刺し抜いて下さい。(写真の通りです。マハゼは用意できなかったのでイトヒキハゼを使っていますが、基本的に同じです)
相変わらず長ったらしく書いてしまいますが、釣り方は至ってシンプルてす。
ポイントに到着したら仕掛けを投入します。
この時、まず餌を投入し、そのあと錘を投入して下さい。
餌は当然泳ぎますので、水面で道糸に絡まないよう注意しながら底まで沈めます。(はやる気持ちも分かりますが、餌が弱らないように少し沈めるスピードは殺しましょう)
底まで沈めたら糸フケを巻き取り、そのあと棚取りをして下さい。
棚取りは基本的にはハリス-50センチ程度(ハリスが1.5メートルなら1メートル)巻き取ります。
理想としては餌は海底ギリギリを泳がせたいのです。が、やはり多少誤差はあり得ますし、海底から浮きすぎてしまうと可能性がほぼゼロになってしまいます。よってこのくらいの棚取りが用いられています。
勿論潮(海水の流れ)は日によって違います。なので潮の速い日は餌も流されますので巻き取りを減らし、逆に流れの悪い日は少し多めに巻き取ります。
棚取りをしたら、じっくり待ちましょう。竿の角度は水平もしくは水平より少し下げ気味くらいです。
「え?それだけ?」と思われるかもしれませんが、基本的にはこれだけです。
ただ、その上でアタリを増やす、チャンスを増やすためにこまめな棚の取り直しをしましょう。
水深が少しずつ変わるというのも一つの理由ですが、棚を取り直す作業によって餌は上下しますのでこれが誘いにもなるのです。
ただし、あまり頻繁にやりすぎると錘で何度も海底をつついてしまうことになりますので数分に一度程度で良いでしょう。
アタリが出たら、アワせるタイミングを計ります。(即アワせではありません!)
ハリはエサの頭付近にあるわけですから、しっかり食い込ませる必要があります。
魚の引き込みに合わせてラインは張り過ぎず弛ませずをキープし、少し竿先を下げつつタイミングを待ちます。
※この際に錘が海底に着かないように注意して下さい。驚いたマゴチが餌を放してしまいます。
そしてハリまでマゴチが食い込んだと思ったタイミングでしっかりアワせて下さい。マゴチの口は硬いので、中途半端なアワせでは掛かりません。
マゴチ釣りにおいてはアワせるタイミングに一番悩みが多いかと思います。が、もうこれは竿を持っているアナタの判断です。外野はあれこれ言うかもしれませんが最後は自分を信じて、自分の思ったタイミングでしっかりアワセて下さい。
どんな名人でも、出たアタリ全てに対して100%アワせを成功させることはおそらく不可能ですから気負わずに。
アワせに成功したら強烈な引き込みがきます。竿のしなり(柔らかさ)を利用して、うまく交わして巻き上げて下さい。
水面まできたら小型でも網で掬ってもらいましょう。無理して水面でバラしてはもったいないですよ。
なお、マゴチはエラ付近にトゲがあるので、素手で持つのは危険です!
写真のように数回折ったタオル等で持ち、ベンチ等でハリを外しましょう。
マゴチは、回遊魚のように泳ぎ回っている訳ではなく、底でジッとしている事が多い魚です。
そこへ船を流して行くわけですので、どうしても釣り座の有利・不利は発生してしまいます。
単純に潮先(先に新しいポイントに入っていく)の釣り座が有利ですので、当日の風向き・潮の流れを考えて釣り座を選択して下さい。
※潮先の考え方については、釣り方講座のカワハギ編の『カワハギ釣りにおける釣り座の有利不利』の項目を参照して下さい。
なお、船宿によっては予約の順番であったり、右舷・左舷の人数調整の問題であったりで釣り座が選べないケースもあるようですので、それは了承して下さい。
マゴチ釣りにおいては餌もそれなりのサイズなので外道は少ないイメージを持っている方も多いかと思います。
が、残念ながら?それなりに居ます(^。^;)
以下に種類とアタリなどの特徴を列挙しますが、ほぼ全ての外道がハゼやメゴチなどの魚餌よりもエビ餌の時にくる率が高いです。
◆スミイカ・シリヤケイカ(たまにマルイカ)
イカ達はマゴチ釣りでエビ餌が用いられるようになってから、非常に存在感が出てきた外道です。
餌に抱きついてくるので、アタリというよりはギューンとした重みを感じます。
ハリ掛かりすることは滅多に無いので、釣り上げたければゆっくり巻いてきて、水面でタモ(網)で掬いましょう。掬うのは意外と難しいので、スタッフか周りの人に頼んでください。
◆フグ(ショウサイフグ・アカメフグ等)
フグはエビ餌を突っついたり、小さく食いちぎるようにアタってきます。イカに比べれば少ないですが、時々ウルサいくらいに群れている時があります。ハリの大きさとフグの口のサイズを考えればお分かりだと思いますが滅多にハリ掛かりしません。釣れたらラッキーですが、ちゃんと調理出来る人に頼みましょう。
◆スズキ
たまにですが、スズキが食いつく時もあります。大型を掛けた人に聞いた話では、引ったくるように食ってきたそうです。
◆ヒラメ
ヒラメといっても小型のソゲくらいのサイズが一般的です。マゴチと同じようにアタリが出るので対応も同じです。よってほぼ判別は不可能です。「釣り上げだらヒラメだった」そんな感じです。
マゴチが釣れたら、とりあえずバケツや生け簀で生かしておきましょう。
そのままクーラーへ仕舞ってはいけない訳ではないのですが、なんとなく(?)みんなそうしています(^。^;)
で、せっかくバケツなり生け簀なりがあるのですから、持ち帰る分は(活きたまま持ち帰るケースを除き)全て血抜きしておきましょう。
血抜きすることで臭みが消えます。
血抜き以外の方法としては、神経締めと呼ばれる方法があります。(僕自身は今、こちらの方法を用いています)
これはまず、マゴチの頭の付け根部分に包丁を入れ背骨を断ちます。
次に(手早く!!)背骨に通っている神経に針金状のものを差し込み、神経を潰してしまうのです。
マゴチは神経を潰されてしまうので暴れることが出来ず、身に血が回りません。また死後硬直を遅らせる効果があるため、鮮度を保てます。
最初は難しいですが、慣れれば非常に手早く出来ると思います。
2013-6/13 文・浅居