スミイカの釣り方には、大きく分けて、エギ釣り、テンヤ釣り、スッテ釣りの三つがあります。エギ釣りは当クラブでも有名人の平林さんのような名人級の方にレクチャーをお任せすることとして、ここでは、テンヤ・スッテ釣法を紹介しましょう。
エギ釣りとは違って、テンヤ・スッテ釣法の醍醐味は何と言っても、予兆やアタリなどが無く、シャクッた時に突然やってくる『乗った時のガツンと来てロッドが止まる重量感溢れる手応え』なんです。
この味を一回覚えてしまうともうこの釣りに必ずハマってしまうはずです。私は「かみや」の釣り物には何でも挑戦してますが、何が一番好きですかと聞かれれば、迷わず「スミイカ釣り」と答えます。
特にシーズン中盤から終盤になって600g超級が乗ると『一瞬根掛かりかと思うような強烈な至福の瞬間』を味わえますよ。
・ロッド
テンヤ釣り或いはテンヤの上に浮きスッテを付けたテンヤ・スッテ釣法の場合、やはり先調子(9:1)の2.4m前後の専用竿をお薦めします。竿をシャープに動かしスミイカを誘うにはシャクリの動きが吸収されてしまう胴調子の竿は不向きだからです。また、船の真下にいるスミイカを狙うエギ釣りと違って、テンヤ・スッテ釣りは投げて広範囲を探り攻めることが重要であるため、飛距離の稼げる2.4m前後の長さが必要です。
専用竿はダイワ、シマノ、アルファタックル、TIFAなど色々あります。軽量化されたものほど価格は高くなっているようです。スミイカ釣りは、シャクリの際の穂先の糸絡みで竿先を折る可能性の高い釣り物です。店先でご自分で持った感じと予算重視で選ぶのが一番いいと思います。アタリや触りは判りませんから、極鋭○○、先鋭○○などの仕様は不要です。
ちなみに、私は過去1シーズンに竿先を4本折った経験があり、今使っている竿は、また新品を買うのはもったいないので、グラスソリッドを買って来て、前述の4本の竿を自分で修理したものです。(泣)
・リール
結論から言うと3000番前後のスピニングリールをお薦めします。両軸ではなくスピニングをお薦めする理由は、ズバリ、飛距離と竿先糸絡みリスクの軽減です。糸フケの調整し難さ、大物が乗った時の巻上げは重く巻き上げ苦労するデメリットがありますが。
私も始めて数年間は遠心ブレーキが効き、バックラッシュし難いタイプの両軸リールを使っていました。が、両軸リールの欠点はガイドも上向きになりますから、やはり竿先の糸絡みの確率も高く、従って穂先を折る可能性も高まることです。スピニングに換えてから竿先を一回も折らなくなりましたし、やはり、両軸よりも飛距離が出ますのでより広範囲を探れます。
リール選びも、店先でご自分で持った感じ(特にハンドルノブの形、大きさ)と予算重視で選ばれるのがいいと思います。
・道糸
PEの1.5号か2号がいいと思います。強度と海水の抵抗を踏まえて、私は1.5号をお薦めします。
・先糸(ショックリーダー)
フロロカーボン5号、2m前後を付けます。道糸(PE)は予めビミニツイストによるダブルラインを作っておいて、先糸との結びはオルブライトノットをお薦めします。
自分で出来なければ、いつもより少し早めに桟橋に行って、しゃちょうや土田キャプテンにお願いすればやってくれますよ。
・テンヤ釣り
先糸にトローリングスナップでテンヤを装着したシンプルなものです。トローリングスナップは高価ですが、開いてテンヤが外れることもなく、強いのでお薦めです。
テンヤは色々な種類が売られています。価格も1000円前後です。カラーは緑かピンクの蛍光、あるいは白がお薦めです。シーズン序盤は浅場ですから20~25号、中盤から終盤の深場では25~30号を使います。
昨シーズンから、エギテンヤが登場してます。市販のエギテンヤの針は小さく、折れやすく、使うなら針は私のようにテンヤ針に交換することをお薦めします。ペンチで尻尾の針の部分を掴み回せば簡単に抜けます。その穴に2本のテンヤ針を入れ爪楊枝の先を1cmくらい切って穴に詰めるとテンヤ針が安定します。後は穴の隙間にアロンアルファを流し込めば針交換は完成です。エギテンヤは私自身そんなに試した経験がないので効果のほどは判りません。すいません。
予めシャコの尾の中心を逆V字にカットしておき、そこから串を入れ、シャコの体の中心を通し、目と目の間で串先を止めます。これを、細い餌巻きゴム糸でシャコ全体をミイラのようにグルグル巻き、包みます。最後は巻いたゴムを2~3回通して締めればOK。
輪ゴムやナイロンラインを使わず餌巻きゴム糸を使う理由は、冷凍シャコを使う場合、ミイラ巻きにすることによってシャコを押さえ付けるテンションを分散・均一化出来るので、フグにさえやられなければ一日持たせることも可能だからです。
竿先と親子サルカンの間に10cmくらいのバカを出し、アンダースローで前方に飛ばします。テンヤ或いは錘が海底に着底したら、竿の角度は45度ぐらいにして、道糸のフケを取って、テンヤは動かさず、スッテだけを動かすイメージで竿先を小さく上下させます。8~10数えた静止の間をとり、シャープにシャクリます。このシャクリの時にガツンと来れば乗ったということになります。乗りがなければ、シャクったテンヤを再び着底させる時、道糸を張りながら竿の角度を下げ、ゆっくり着底させることがポイントです。こうして、シャクリと静止を繰り返し、広く探り、仕掛けが船下まで来たら、またキャストして、一連の動作を繰り返します。
リールの巻きで、静止の時の道糸の状態は常にややフケた状態を保ちましょう。
遠投して、一回目のシャクリで乗った時、我々仲間内では「ホールインワン」と言って喜びます。遠投の甲斐がありますよね。テンヤとスッテにダブルで乗ることもあります。こうなるともう最高。言うこと無しです。
乗ったら、速やかに、竿尻を腹に当てたスタイルを取り、巻き上げを開始します。テンヤもスッテも針に返しが無いので、巻き上げは一定スピードで船べりまで上げて来ます。道糸を掴み、竿を竿受けに乗せて、静かに仕掛けを持ち上げ、テンヤもしくはスッテを掴み、スミイカの腹側を外に向け、背中側から首の付け根のところを強く掴み、テンヤもしくはスッテから外しバケツに入れます。
スミイカは興奮させると墨を吐き散らします。スムーズな取り込みを心掛けましょう。自分がかけられるのはしょうがないとして、隣の人にかけるのはNG。
また、バケツに海水は入れないこと。海水が入っているといつまでも元気に墨を吐き続けますので。
私は最初にこのスミイカ釣りを始めた時、3回続けて坊主でした。なんとかして釣りたいという思いから、上手い方の釣り方を真似しながら今日に至っています。
この釣り方教室を参考に是非皆さんにも「至福の瞬間」を味わっていただきたいと思います。
スミイカ船の船上で、是非ご一緒しましょう!