ここではマルイカの釣り方について紹介します。
投入器はいくつかタイプがありますが、今回は筒型の投入器(かみやにあるタイプ)を使用している場合を想定してお話します。
なお、ここに書いたことはあくまでもマルイカ釣りが大好きな1人の釣り人の意見・見解です。
他の釣り人の意見を否定したり、ましてや釣り方を押し付けたりするものでは決してありません。
あくまでも参考程度にして頂けたらと思います。
なお、船宿によってタックル・仕掛けにルールがある場合もありますのでその場合はその船宿に従ってください。
以前記載した内容ではマルイカ釣りに使う竿として、柔らかめのカワハギ竿等を薦めました。それは当時はまだ専用竿が少なかったためです。
しかし近年ではマルイカ釣りの流行に合わせて専用竿が数多く作られるようになりましたので、今から購入を考えている方はこちらの購入を薦めます。
とはいえ、いろいろなタイプの竿があるので迷うとは思います。まずは柔らかめの竿と硬めの竿のどちらを選択するかということと、どの時期(どの水深の時期)からマルイカ釣りをやるかという2点で絞っていきましょう。
先ずは竿の硬さからです。
柔らかめの竿のメリットは、やはりイカの触りの変化が竿先に大きく出ることです。
当たり前ではありますが、マルイカ釣りではイカの触りが分かるかどうかが釣果にダイレクトに影響します。柔らかい竿ほど視覚で変化が捉えやすいです。
逆にデメリットとしては柔らかい分だけ「遊び」が大きい事が言えます。使い込んでいないと合わせのタイミングが遅れてしまいがちです。また、タタキ等の動作も当然し辛く感じるのは言うまでもありません。
硬めの竿のメリットはその逆です。タタキ等の操作がし易く、柔らかい竿に比べればレスポンスが早いので合わせ易いです。
そしてデメリットも逆で、柔らかい竿に比べるとイカの触りは視覚的には小さいです。
続いて、どの時期からマルイカ釣りを始めるか?という点です。
「なんのこと?」と思った方もいるかと思いますが、元々マルイカ釣りは水深30メートル前後でやれる初夏がピークでした。が、近年は流行に伴って徐々に3月から‥2月から‥と早い時期から開始する船宿が増えました。
その時期のマルイカはまだ深場に居て、ポイントによっては水深100メートル超も当たり前です。
そうなってくると、船宿の設定は電動リールを使っての80号オモリ。0.8号等の細い道糸を使っても60号くらいは背負うことになるでしょう。
よって、その時期もマルイカ釣りをしたいと考えるのであれば、30号を背負うような夏場だけを考えて購入するのとは異なってきます。30~60号を背負う事が出来る竿もありますが、複数本持つ方も居ます。よく考えて購入してください。
もし可能なのならば知人などに借りて、一度試してみてから決めると良いでしょう。「竿に合った釣り方をする」のではなく、「自分の釣り方に合った竿を探す」ことを念頭に置いてください。
「オモリ・道糸について」という項目まで作ってしまいました。
何に関係するのか?
ズバリ仕掛けの落下速度です。
どんな釣りでもそうですが、イカ釣りでは特に、早く海底に仕掛けが着く事は有利です。
やる気のあるイカに、より早く出会えますし、イカは当然泳いでいますので、「仕掛けを下ろしたけど群れが通り過ぎてしまって間に合わなかったみたい‥」という事が減らせます。
リールの能力を除けば、仕掛けの落ちるスピードはオモリと道糸で大体決まります。
まず道糸は細ければ細い程、抵抗が少ないので落下速度は上がります。自分の周りでも0.8号や0.6号などの細糸の方が多いです。扱えそうなら細糸にも挑戦してみて下さい。
また、道糸が細ければ潮の抵抗が少ないので流されて仕掛けがナナメになってしまうリスクが減ります。
なお、仕掛け投入時は竿を下向きにして、ガイドなどによる摩擦を減らすことも忘れずに。
オモリはもちろん、重ければ重いほど落下速度は上がりますし、道糸もナナメになりにくいです。が、あまり重いオモリを使ってしまうと、竿先に負荷がかかりすぎてしまって、イカの触りが分からなくなってしまいます。
よって、同じ号数のオモリで、少しでも早く落とす方法を考えます。
そうすると、オモリの形状と素材ということになってきます。
形状としては、六角やナス型よりスカリーや弾丸・キャストシンカーのような形状の方が落下速度は早いです。
次に素材ですが、タングステンを素材としたオモリが存在します。はっきり言って、鉛に比べて比重が高いので格段に落下速度は早いです。
ですがこれはレアメタル‥値段は張ります。純度などによるので幅はありますが、安くても一個2000円~5000円近くします。
イカ釣りはカワハギ釣りなどに比べればオモリのロストは少ないですが、それでも根掛かりやオマツリによる高切れなどはあります。購入はお財布と相談して下さい(^_^;)
もう1つ、早く落とす方法として、仕掛け全長を減らす(=スッテの数を減らす)事を取り入れている方もいます。要するに水の抵抗を受けるものを少しでも減らそうということです。
水深が浅く、広い範囲を探る必要が無いときには有効かと思います。
慣れないうちは既製の仕掛けで十分です。
少し慣れてきてスッテを変えたりしたくなってきたらスッテを脱着出来る仕掛けを使用しましょう。
最近ではリーダー(スッテ以外の仕掛け部分。スッテが自由に脱着できる)のみの販売もしていますので、幹糸の太さやスッテの間隔に細かくこだわらなければそれでも十分です。
が、段々とこだわりたくなってくるかもしれません(笑)、そしたら自作しましょう☆
基本的にはスッテ5~7本の仕掛けを使う人が多いですが、自作だとそれが自由に決められます(ただし、スッテが多すぎると非常にやりづらくなりますし、オマツリ時に大変ですからほどほどに)
スッテ同士の間隔は100~120cmが主流です。間隔が短いと扱いやすいですが、イカの乗りは悪くなると言われています。(個人的には100cmくらいでもそれほど劣っている感覚はありませんでしたが・・・)
逆に間隔が長いと、乗りが悪くなるリスクはありませんが、仕掛け回収がしづらくなります。(スッテの間隔が、両手を拡げた間隔より長いと回収しづらくなるのはイメージしやすいでしょう)
続いて幹糸の太さです。既製の仕掛けは確か4~5号くらいが多かったと記憶しています。
それ以上太くするメリットは無いと思います。強いて言えば「丈夫」な事くらいでしょうか。
問題は細くするかどうかです。細くすれば潮の抵抗が減りますのでラインが流されにくくなりますし、イカからラインが見えにくくなります(これはあくまでイメージですが・・)
ただ細すぎるとちょっとした事で切れてしまうリスクがつきまといます。
ヨレもとれづらいです。
自作する方はこれらの事を考えながら作ってみて下さい。
一応僕の自作の仕掛けとタックルを参考までに紹介します。
通常の仕掛け(あくまで目安。船宿、ポイントにより異なる)
錘:30~100号(LT30~60号、電動50~100号)
道糸:0.8~5号(LT0.8~2号、電動3~5号)
幹糸:フロロカーボン4~5号
枝間:100~120cm
枝: 直ブラ1cm ブランコ20cm前後
上下:80~100cm
筆者の仕掛け(直ブラ)
錘:30~40号(主にKAGEYAMAのキャストシンカー)
道糸:0.8号
幹糸:イカスペシャル3号
枝間:110cm
上下:75cm
直結5~6本角仕掛け(ビーズにて直ブラへの変更可能)
LTの場合は竿やすめ、電動の場合はロッドキーパーを使用した方がやりやすいでしょう。
出船間際に乗船した場合を除き、出来れば出船前に仕掛けは準備します。
(初心者の方は最初は市販の仕掛けで十分です、それなりにスッテの配色はされています)
利き腕・両隣の人との関係も考える必要がありますが、空いているならば出来ればミヨシ側に竿、トモ側に投入器があったほうが、道糸が竿に絡まりにくいので、釣りしやすいです。(基本的に船はミヨシから風を受けます)
さてポイント到着です。
船は魚探・ソナーなどを駆使してイカの反応を探して移動します。
当然、急に見つかったりするのでいつ投入の合図があるか分かりません。
常に心の準備はしておきましょう。
合図があったら投入です。リールをフリーにしつつオモリを投げ込みます。
ただ真下ではスッテが筒に引っ掛かってしまうことが多くなりますので、少し前に投げ込みましょう。
※ここで注意です!万が一投入器の中にスッテが引っ掛かってしまったとしても絶対に覗き込まないで下さい!
これをやると顔に重大な怪我をする恐れがあります。
投入が遅れるとイカの群れに到達するのが遅くなり不利になるばかりか、混雑時にはオマツリの原因になってしまうこともあります。
どんなに不調な日であったとしても、投入合図があったら即仕掛けを投入できるように常に準備しておきましょう。
着底後の事ですがここからは人によりかなり異なりますので、ここでは参考までに僕のやり方を紹介します。
①まずはそのまま少しテンションを抜きます(ラインを緩めます)
②約4秒カウントを取り、大きめに空合わせ→そのままオモリを底から0.5~1メートルくらい持ち上げます。(乗りが良ければ空合わせの時点で乗っていますので、その時はそのままテンションを抜かずに巻き上げです)
③そのままの棚(オモリが底から0.5~1メートル)でキープします。船の揺れによる上下はなるべく殺します。
④6~7秒待って触りが無ければ棚を調節(この時の棚は船長が指示した棚です)して叩きを入れます。水深が深いほど幅を入れて叩きます。
(※そうしなければ深い水深では叩いても動かないからです)
⑤叩き終えたらまたそのままの棚をキープです。
⑥それでも触りや乗りが無ければ、仕掛けの長さ+αくらい巻き上げて落とし直します。そこからはまた①~の繰り返しです。
最初にキープする棚や、キープして待つ時間などは人それぞれです。いろいろ試行錯誤して下さい。
キープ中などにイカの触りを感じたら合わせましょう。
おもいっきり合わせる必要はありませんが、少しシャープなイメージは持ってください。
スッテの針にはカエシがついていないので、合わせた後、テンション(糸の張り)は絶対に抜かないように!
合わせた時にイカが乗った感覚(主に重さ)があれば巻き上げです。
波の上下がありますが、それでもテンションは絶対に抜かずに、ずっと同じペースで巻き上げて下さい。
急いで巻き上げたくなりますが、マルイカの足はスルメイカの足などに比べて非常に弱く切れやすいです。
巻き上げはこれじゃちょっとゆっくりかな?と思うくらいで丁度良いかと思います。
これは何度か釣行して感覚を養ってください。
巻き上げたら投入器に仕掛けをしまいながらイカを回収しましょう。
流れとしては
①糸を張ったまま右手に竿、左手に最初のスッテをつかむ。
②竿を竿休めに置き、空いた手で次のスッテを掴む。
③最初のスッテを投入器にしまい、空いた左手に次のスッテを右手から手渡す。
④右手で次のスッテを掴み、左手のスッテを投入器にしまう。
あとは③・④の繰り返しです。聞き手が逆なら右手と左手を読み変えてください。
これはあくまで一つの方法です。
基本的にはテンションさえ抜かなければ大丈夫ですので、自分のやりやすい方法で行ってください。
続いて、マルイカの乗り(触り)についてです。水深が深ければ深いほどこれはもう竿先に集中しかありません。
キープ時に現れる変化には「これぞモタレ!」という変化や「クウン、クウン」という上下反応など様々ですが、波による揺れもある中で100%感じ取るのはベテランでもまず無理ではないでしょうか。
怪しい変化が出たら迷わず合わせてみて良いと思います。
なお全部がそうではありませんが、一番竿先に反応が出た時というのはイカが抱きついたスッテから離れようとしている瞬間が多いです。
その時に合わせて掛からないわけではないですが、出来れば離れる瞬間よりは抱きついた瞬間で掛けれた方がバレる確率は減ります(掛かりが弱くて、水面とかでバレると泣けます(;_;))。
ですので乗りを感じたら早めに合わせた方が良いと思います。
ちなみにガッチリ掛かっているイカほど引かず、ただ重いだけです。
逆に巻き上げの時に引くイカほど足一本だけの掛かりだったり、触手のみだったりします(ある意味とてもスリリングです(-▽-;))。
釣り方でも書きましたが、最初は既製の仕掛けで十分です。
が、釣りに慣れてくると、より好釣果を目指してスッテを変えてみたり、または並び変えてみたりしたくなるものです。
メーカーもそれに対応してか、スッテを簡単に脱着できる仕掛けを数多く販売しています(自分で作ればより楽しいでしょう)
スッテ自体も今では数多く販売されていて、釣具店では嫌でも目移りしてしまうほどです(汗)。
せっかく新鮮なマルイカを釣ったわけですから、なるべく良い保存状態で持ち帰って透明なお刺身を楽しみたいものです(^q^)。
ここでは僕が行っている(もちろん、僕も以前船長等に教わったわけですが)持ち帰り方のコツをお伝えします、参考になれば幸いです。
先ず釣る前からのお話ですが、釣りが始まったらバケツに海水は必ず満たしておいて下さい。
釣れてからではちょっと遅いです。
かみやでは海水は流しっぱなしにしてくれますから、常に新しい海水が循環している状態が保てるはずです。
釣ったマルイカはなるべく触らず(触るとイカが火傷します!)にバケツに入れて下さい。
慣れないうちは無理しなくて結構ですが、慣れればスッテだけ触ることでイカにはノータッチで済むはずです。
そうしておけばイカは納竿時間まで活きています。
なお、もしたくさん釣れたようでしたらギュウ詰めになる前に(船の予備のバケツに余裕があれば)バケツを増やして分けておきましょう。
あまりギュウ詰めだと、弱いイカから死んでしまいます。
(もし死んでしまったら、それは仕方ないのでクーラーにしまってしまいましょう)
さて釣りが終わりました、しかし桟橋まではまだまだ時間がありますから、なるべく長く活かしておきましょう。
海水はずっと循環してますからバケツはそのままでオッケーです。
ここで注意、ミヨシ(船の前方)側で釣っていた人は足元が少し斜めなので特になのですが、そのまま放置すると帰港中にバケツが後ろに滑ってしまい、海水循環のホースが外れてしまいます。
時々チェック出来るなら大丈夫ですが、面倒ですし釣りが終わった後は疲れていて寝てしまったりするものです。
この時はバケツの下にタオルを敷く、または紐を利用する、クーラー等で支える等をしてなるべくバケツを固定して下さい。
どうでしょうか?長くなりましたが、これを読んでちょっとでもマルイカ釣りに興味を持っていただけて、「やってみたいな!」と思って頂けたら幸いです。
他にもスッテについて・竿についてなど、随時追加していくつもりですのでそちらも参考にして頂けたらと思います。